企業の一つの組織はチームでなければなりません。
単に人を集めて、バラバラな組織はチームではなくグループといいます。
チームとして機能すれば、組織の目標を最も効率よく達成することができます。
それによって、チームのメンバーもリーダーもやりがいが高まり、成長します。
さらに各自の向上意欲も高まります。
そのようなチームを作っていくのがチームビルディングです。
ここで、重要なことは個々のメンバーが個人としてはいくら優れていても、チームとしては最強になるとは言えないということです。
それよりも、個々のメンバーは必ずしもその持ち分について最強でなくても、チームビルディングが進んでいると、チームとしてはすごい力を発揮することができるものです。
1+1が2ではなく、3にも4にもなれるということです。
それから言えることは、経営者やリーダーは、個々のメンバーについて、その持てる力を十分に発揮できるように気配りすることが大事だということです。
したがって、リーダーは個々のメンバーの良い面を見つけ、それを伸ばしていけるように支援することが大事だという事です。
あいつは駄目だから、他の人に変えようという考えが中心では、部下は成長していきません。
この辺の事情は外国人部下について特に配慮すべきポイントです。
外国人をチームに加えて、活躍してもらうために、まず、日本語のコミュニケーションという壁を乗り越えさらに日本の文化、習慣、仕事のルールをしっかり身に着けるというような壁を乗り越えねばならないので、リーダーには外国人への理解と、育てていくという気持ちが必要です。
短期的にダメというような落胤を押すべきではないということが言えるでしょう。
チームができてもすぐ活性化したチームになることはなく、プロセスを経てチームが機能するようになります。
形成期 | メンバー間の関係性を築く時期 |
混乱期 | メンバー間で考え方、感情がぶつかる時期 |
統一期 | 共通の規範、役割分担が形成される時期 |
機能期 | チームとして機能し、成果がでる時期 |
チームビルデイングの目的はできるだけ早期に機能期に到達するようにし、チームを活性化して結果の出せるチームにしていくことです。
主体性が高ければ、チームの問題に対し、積極的にメンバーが解決しようと動くようになります。
メンバー間の相互作用が活発であること個人の主体性ばかりでは、チームはバラバラです。メンバー間の旺盛な相互作用があることで、思わぬアイデアが生まれ、新しい自分や他人を発見し、学習と成長が生まれます。個人の主体性が発揮されているとともに、旺盛な相互作用があるチームが活性化されたチームです。
チームビルディングを成功させるためには、4つの要素があります。
チームビルディングが思うようにいかないという場合、これらの要素に立ち返って改善のポイントを見つけていく必要があります。
チーム活動の狙い(目的、何のための活動か)、目標(ゴール)、プロセス(段取り)、活動指針(規範、グランドルール)などチームを作るうえでの枠組みをデザインし、メンバーの間で共有しなければなりません。
チームビルディングのかなりの部分は、その土台となる構成メンバーの組み合わせにかかってきます。チームの力を最大限に発揮するには、メンバー選びが最も重要な要素となります。メンバーは最少多様性を確保し、最少の人数で多様な考えのメンバーとなるよう構成することが必要です。チームの人間関係をよくし、力を発揮できるようにするために各種のワークショップが利用できます。
チーム活動はメンバーの気持ちに左右され、それは場から多大な影響を受けます。部屋選び、座席のレイアウト、空間の演出、など活動スペースをどのようにデザインするかも重要な要素となります。
活発なコミュニケーションを行うには、メンバー同士の関係性がしっかりとできている必要があります。コミュニケーションで分かち合うもののは2種類あります。
第一は、考えです。
知識、情報、アイデア、筋道、論理などです。正しいとか間違っているとかを別にして、同じ考えが相手の頭の中にあるようにすることを理解といいます。
第二は思い、感情、感覚などの気持ちです。同じ気持ちが相手の心の中にある状態を共感といいます。理解と共感ができることで、コミュニケーションが成り立ち、関係性を深めていくことができます。
アイスブレークや簡単なエクササイズ(協働体験)を通じて関係性づくりを促進していく必要があります。
コミュニケーションを通じて、自分の枠組みを開くことを自己開示といいます。
自己開示はリスクがあるので、できにくい側面があります。
意図的に自己開示がしやすい場をつくることをアイスブレークといいます。
性を深めるのによい方法は協働作業です。
そのためのトレーニングとしてチームビルデイング・エクササイズがあります。頭を使う協働作業もあれば、身体で感じるものもあります。
チームビルデイングをしようと意図するリーダーやファシリテーターはこの4つの要素を使ってチームビルディングのプロセスをデザインしておきます。
チームビルディングを進めるための技法としてワークショップがしばしば使われます。
ワークショップとは主体的に参加したメンバーが協働体験を通じて、創造と学習を生み出す場です。
問題解決、プロジェクト運営、共創型営業、チームづくり、合意形成、参加型学習、組織変革などの分野で活用されています。
人は自ら参加したものしか、本当の意味で納得はしません。納得すれば「よしやってやろう」と決意します。決意すれば行動します。
そのような人が行動すればよい成果を生み出してくれます。
ワークショップにはチームとしての創造、メンバーの大きな学習効果を得るために重要な5つの要素があります。
メンバーが主体的に活動に参加するということです。人任せ、傍観者にならず当事者意識をもって成果を皆と一緒に作り上げていきます。
参加者の体験を基に、ワークショップを組み立てていくと同時に、ワークショップを通じて参加者が共通の体験をするということです。
メンバーが互いの資源を持ち寄り、協働作業を通じて活発な相互作用(相乗効果)を起こすことがワークショップには欠かせません。
協働作業がワークショップの中核です。
ワークショップとはチームで創造、新しい「知」を生みだすための方法論です。
協働作業では一人では思いつかないことを発見したり、成果を得ることができます。
ワークショップの目的は創造とともに、学習があります。
チームだから得られる気づきを得たり、メンバー全員で大きな学びを得ることができます。
ワークショップでチーム、個人を成長させる事ができます。
ワークショップは、チーム、プログラム、ファシリテーターの三つの要素から構成されています。ワークショップの技術とは、三つの要素のデザインとワークショップの運営に関するものです。
効果的なチームを設計することです。
ある程度の時間でワークショップで結果がでるようにシナリオを作成することがプログラムデザインです。
ワークショップのタイプによって決まる大まかな流れ(セッション)を作り、活動内容と順番、時間割からなる段取りを決めます。各セッションを狙い(ゴール)、アクティビティ(活動内容)、テーマ(問い)、活動環境(場)に展開してプログラムを作り上げます。
プログラムはワークショップの進行度合いで改良、修正が必要になることがあります。
ファシリテーションとは集団による知的相互作用を促進する働きです。
メンバーの活動が容易にできるように支援し、うまくワークショップが運営できるようにするのがファシリテーションです。
チームによる問題解決、アイデア創造、合意形成、教育・学習、変革、自己表現・成長など知的創造活動を支援し、促進していく働きがファシリテーションです。
例えば会議できちんと成果を出すためには、情報、意見、経験、思いというような結論に至るためのコンテンツと、会議の進め方、論点、関係、感情というようなプロセス(進行、過程)の両者がそろわなければなりません。
コンテンツはメンバーが出していく一方、プロセスはファシリテーターの役割となります。それによって会議は中身のない、結論のでない会議ではなく、きちんと結論が導かれメンバーの合意を得ることができます。
ファシリテーションには多岐にわたるスキルが求められますが、基本として4つのスキルがあります。
場を作りつなげる何を目的にして、だれを集め、どういうやり方で議論していくか、話し合いの段取りが1つのスキルです。
最適な議論の進め方や論点を提案して、メンバ-に共有してもらう必要があります。
次に、討議の空間やメンバー同志の関係性を適切にデザインして、話し合いの場を提供することが必要です。
ファシリテーターがどういう構えで場に臨むかも見逃せない 要素です。
話し合いについて多くの意見や考えを出し合い、理解と共感を深めながら、アイデアを拡げていきます。これを発散といいます。
ファッシリテーターは多くの意見や考えを受け止め、発言者を勇気づけ、発言者の本当の想いを引き出していくようにしなければなりません。意見と意見の連鎖を作り、皆が幅広い論点で考えられるようにします。傾聴、応答、観察、質問などのコミュニケーションのスキルが必要になります。
発散がうまく運べば自然に収束への機運が生まれてきます。そこでファシリテーターは個々の意見を分かりやすく整理し、かみ合わせていきます。そして、議論の全体像を整理し、議論の論点を絞り込んでいきます。
その時議論を分かりやすく見える化するファシリテーション・グラフィックスが有効です。構造化ツールを使って効率よく議論が展開できます。
結論の方向性が得られたら次は決定です。最適な選択肢を選ぶための基準、異なる意見の融合はどうするかなどを決める必要があります。
意見の対立があるときはコンフリクト・マネージメントのスキルが必要になります。うまく合意が得られれば、結論やアクションプランを確認します。